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吹田市道路安全室・交通政策課─まねきねこ探検隊

今回の訪問先は、吹田市・道路安全室 交通政策課。課員総勢二〇名で市内の道路安全全般に関する立案・実施を担当する部局です。総括参事の野村博さんとバリアフリー推進係の隅田知里さんにお話しを伺いました。(編集部)

二〇〇〇年、交通バリアフリー法が成立し、一日五千人以上乗降客のある駅のバリアフリー化計画が自治体に義務づけられました。交通政策課は、元々駐輪場の整備やガードレールなどの交通安全設備の整備がその役割だったのですが、バリアフリー法成立を期に、各課を調整し推進する担当部局となりました。

吹田市の取り組みで特徴的なのは、各地区毎に開催されるワークショップです。社協・自治会や障がい者団体など地域の人々に参加を呼びかけ、ニーズを聞き、意見交換を行います。一〇〇名近く参加したこともあるそうです。行政が立てた計画を素に市民からヒアリングする手法もありますが、吹田市では、基本計画作成段階から市民との協働をめざしています。

ふれあいから協働へ

「『障がい』について無知だった自分が見えてきました」こう語る隅田さんは、バリアフリー推進を担当して五年目の技術職員です。「ワークショップでお聞きした当事者の意見は、本で得た知識より深く、疑似体験施設のものとも違うリアリティがあった」と言います。野村さんも、障がい体験施設での研修で障がいゆえの困難さや障がいの多様さを知り、タウン・ウォッチング(まち歩き)を通して「まちにいかにバリアが多いか、思い知らされた」と言います。

駅のバリアフリー化は、二〇一〇年の事業完了が義務づけられています。予算制限で難しそうですが、事業は継続していくそうです。

さらなるバリアフリー社会へ

阪急吹田駅は、よく利用するのですが、使いにくい駅だと思っていました。バリアフリー法によって、この駅も使いやすくなると期待してましたが、一向にその兆しが見えてきません。

聞けば、吹田も地元の障がい当事者に意見を聞きながら計画を立てているとのこと。阪急吹田駅付近にエレベーターが三機設置されると聞いた時は、本当によかったと思いました。まだ先のことですが…。 ただ、法律や条例ができないと改善されないのか思うと悲しくなりますし、このバリアフリー法も、いろいろな制約があることを忘れてはなりません。一日に五千人の利用客がいなければ整備しなくてもいいのです。豊中市も吹田市も頑張って五千人を超えない駅も整備しようとしています。 しかし地方の駅では自治体の財源不足を理由に、そのまま放っておかれています。またJR駅員による障がい当事者への差別的な対応が目立っています。バリアフリー法も遅々と進まないのが現実です。 障がい当事者が声を出している自治体では、駅周辺がかなり使いやすいように整備されてきています。当事者が強い意思を持って主張することがやはり大事だと思います。 今回、初めて私は、吹田のバリアフリー担当の方にお会いしました。担当者も、当事者と関わって初めて知ることが多いと聞きました。ワークショップというきっかけがないと、知る機会もなかったのでしょう。しかしまだまだ市職員の意識は低いのが現状です。障がい市民のみなさん、大きな声で主張しましょう。

そして、障害者権利条約が採択されたのですからバリアフリー法も基本的には駅周辺だけではなく自宅から目的地までのアクセスの保障をするべきだと思います。(入部香代子)

(2007/10/11)


「ワークショップからまちづくりを」と語る野村さん(右)と隅田さん(中央)(交通政策課にて)
 


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