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マスメディアが報じるのは 〜 石塚直人

ホットニュースと誤報

与党が惨敗した参院選を起点に、この国の政治は明らかに変わってきたようだ。数に任せてのやりたい放題でなく、嫌でも国民の目を意識するようになった。地方政治も同じで、当然のことながら好ましい。

大阪市長選で民主推薦の新人が自公推薦の現職を破った後、十二月三日には大阪府の太田知事が三選出馬を断念した。一か月少し前まで安泰と見られていた現職が突然、失速したのも、きっかけは「政治とカネ」だった。

共産を除く各党の候補者選びが混沌とする中、民主の小沢代表は「勝っても負けても独自候補で」と府連に指示した。蔓延する「相乗り」が地方政治をゆがめ、有権者の政治不信を増幅させてきたことへの反省によるものなら、評価できる。

こうしたホットニュースでは、しばしば誤報(?)が飛び出す。朝日、毎日は五日朝刊一面トップで「自公が橋下弁護士擁立で調整、本人も意欲」と書き、夕刊で打ち消した。本人がすぐさま否定したからだ。

最終的に橋下氏は立候補を決め、民主も対立候補を擁立して大阪市長選同様、三つどもえの構図が固まったが、間違いないはずの記事内容を当の相手に否定された時の「目の前が真っ白になる」思いは私にも経験がある。とにかく落ち着いて事実関係を確かめ、後始末をしなければならない。でも、そのつらさと言ったら――。

自らの立ち位置を確認させられる特集

とはいえ、新聞が報じるのは「その日あった」「近く行われる」ことだけではない。

社会の変化がこれほど急速だと、「今、自分たちはどこにいるのか」「何をすべきか」を検証する記事は欠かせない。地球温暖化や少子化、広がる格差への対応などについて、各社が相次ぎ大規模特集を組んでいるのはその表われだ。教育や医療、福祉についての専門記者の養成が進み、介護問題を集中的に取り上げる社も増えた。

読売紙面で私が愛読しているのは、火曜夕刊の「介護の心」。特別養護老人ホームの指導員を経て「生活とリハビリ研究所」を設立した三好春樹さんの連載だ。介護現場での「おむつはずし」運動などユニークな取り組みとともに、なぜ今まで誤解だらけの介護が行われてきたのか、についてもわかりやすく説いている。

まとめて言うなら「生半可な知識や憶測に頼り、当事者の声に耳を傾けなかったから」ということになろうか。この国が世界に冠たる高齢国となりつつある今、多くの人に一読を勧めたい。インターネット「読売オンライン」中の「医療と介護」で大半が読める。

(2008/01/10)



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