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タゲリ(チドリ目チドリ科タゲリ属)
漢字名は田鳧。全国に冬鳥として渡来する。広い農耕地や牧草地などの開けた草地に群れで生息する。「ミュー、ミュー」と子ネコのような鳴き声。食べ物は、昆虫、節足動物、ミミズなど。

▲安威川での野鳥観察。よく見えるかな。

吹田の生き物と人J-安威川の冬鳥 高畠耕一郎

安威川の水鳥観察

毎年真冬の観察会は、安威川の水鳥を中心に観察をします。安威川は野鳥観察に慣れていない人にも適しています。@川幅が狭く、わりと近くから水鳥を見ることができる、A太陽が逆光にならない南側から観察できるいい場所がある、B人通りがほとんどないため、水鳥たちがゆっくり休んでいるところを観察することができる、などの好条件がそろっている大きな土手があります。望遠鏡を使えば、適当に距離があるため水鳥を驚かさずに観察することができます。

顔が緑色のマガモ、身体が小さくて黄色いパンツのコガモ、オスもメスも同じ模様でくちばしの先が黄色いカルガモ、尾っぽがピンと立っていて首筋が白いオナガガモ、茶色い顔に黄色いモヒカン刈りをしているヒドリガモが群れています。

身近な自然にふれて

オカヨシガモ・ハシビロガモ・アメリカヒドリも時々混じっています。これらカモ類の多くは、シベリヤ方面から数千キロも飛んで日本に冬鳥として来ています。

大きな水鳥では、コサギ・ダイサギ・アオサギ・カワウが川魚を狙っています。また、顔面が赤いバンと白いオオバンが首を前後に振りながら水面を移動しています。ユリカモメが群れで飛んでくるときもあります。上空には、トビ、魚を食べるミサゴ、小鳥たちを狙うオオタカ、ハイタカも見かけますが、カモたちはこれらの猛禽類が真上に現れるとあわてて逃げていきます。

川原の砂地などには、ハクセキレイ・セグロセキレイ、時にはキセキレイがいます。陸地の芦原や草原、樹木には、カワラヒワ、アオジ、ホオジロ、ツグミ、モズ、ジョウビタキ、メジロ、シジュウカラ、ムクドリなどの小鳥類も見かけます。このように、毎年30種近くの野鳥を観察することができています。

安威川のナンバーワン

しかし、何と言っても、この安威川の注目度ナンバーワンは、タゲリです。田んぼにいるケリ(鳧)という意味です。よく見かけるケリは、JR岸辺駅のホームにいると線路内の広場からケリケリ(キキッ、キキッ)と甲高い大きな声で鳴きながら飛んでいる大型のケリで、顔は灰色です。この安威川の川原にいるタゲリは、少し小さくて全長31・5pと図鑑に出ています。特徴は、頭から背中は濃い緑色で、頭の上には冠羽と呼ばれるひも状の長い羽毛が立っています。見たらすぐにタゲリだとわかりますが、なかなか見つけることはできません。冬鳥としてシベリヤ方面から飛んできているそうです。タゲリは、大阪府の野鳥準絶滅危惧種(61種)に入っています。吹田自然観察会では、毎年1〜2月に、この付近の安威川で観察会をしていますが、タゲリは、2年に1回位しか見ることができません。 

このタゲリなどが観察できるのは、近畿自動車道から摂津市側に入った場所で大正川が安威川に流れ込んでいる付近です。左岸側は新幹線の車庫になっている静かなところです。下流の吹田市側は人通りが多いのと、川に中州がほとんどないため、水鳥の種類もずっと少なくなります。やはり、中州や広い川原があり、芦原や灌木などがはえている摂津市付近は野鳥の種類も多くなります。

(2009/02/07)



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