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吹田の生き物と人Oヒメガマ -高畠耕一郎

ピアノ池のヒメガマ

7月になると、ため池の浅いところや使われなくなった田んぼなどに、赤茶色のソーセージのようなものを先に付けている1.5〜2mの大きな草が生えているのを目にします。ガマかヒメガマです。どちらも水辺付近に生えるのですが、吹田のため池にはヒメガマが目立ちます。

ヒメガマとガマの違いは草丈の大きさではなくて、ヒメガマがガマより葉の幅が少し狭いことで見分けることができます。これがヒメ(姫)と言われるゆえんです。ソーセージのようになっている穂の部分(雌花の集まり)の上に雄花の穂が付いていますが、ヒメガマではその間に4〜5pの花茎が見えることでも見分けられます。ガマはその部分に隙間がありません。

ヒメガマは漢字で「姫蒲」と書きます。蒲団の「蒲」の字は、昔、ガマなどの綿毛を寝具に入れたことからきています。また、 昔の蒲鉾は竹輪のような形でガマの花穂に似ていたことから、この漢字が使われています。

ガマの穂が出てくる因幡の白ウサギの昔話

有名な昔話にもガマの穂が登場します。

〈因幡の白ウサギとワニザメが、どちらが多いかを言い争い、ウサギはワニザメを多く集めさせ、そのサメの背中を渡って、隠岐の島から島根の海岸に渡っていったのです。その最後の方になって、ウサギは「やーい、ワニザメさんたち、だまされた。ほんとは、こうして渡りたかっただけさ」と言ったので、怒ったワニザメはウサギを捕まえて皮をはいでしまいました。

全身の毛皮を剥かれて真っ赤になって苦しんでいたウサギに、オオクニヌシノミコトという神様が「川の真水できれいにからだを洗い、ガマの穂の白い綿毛にくるまって風の当たらないところで寝ていると、痛みは取れる」と教えてくれました。その通りにすると、ウサギは白い毛に覆われて元に戻り、親切な神様に心から感謝しました。〉

(2009/07/16)

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