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報道は「小沢氏」をどう見た? -石塚直人

前途多難なスタートの菅改造内閣

民主党代表選で菅首相が再選され、改造内閣がスタートした。もっとも、これで安定政権ができると考えている人は少ない。読売新聞(9月19日)によれば、内閣支持率は66%に伸びたものの、その理由は「非自民だから」が24%でトップ。「首相に指導力がある」はわずか2%で、内閣発足直後の13%と比べても大きく落ち込んだ。

代表選前からの各紙による世論調査で、首相の再選を期待・評価する声は軒並み70%前後の高率だった。対抗馬の小沢前幹事長に厳しい目が向けられていた事情を考えれば、「脱小沢」路線での組閣が今回の高支持率にも大きく貢献したと言える。しかし、代表選も国会議員票では首相と小沢氏がほぼ拮抗しており、深刻な党内対立を修復できる目算は立っていない。経済再建や普天間問題など課題が山積する中、参議院では野党が多数派を占め、そう遠くないうちに政権が再び立ち往生するのは目に見えている。

各紙とも、こうした現状認識はほぼ一致し、社説などでは「政権交代の初心にかえって頑張れ」と首相を励ますトーンが強い。その中で、朝日が15日に政治エディターの署名で「小沢氏を財務相など主要閣僚で起用しては」、毎日が16日に論説委員コラムで「小沢外相、はどうか」と書いていたのが印象に残った。良くも悪くも「社論」が一貫している読売や産経ではまず考えにくいことだが、多様な意見を紙面に反映させる点では評価すべきだと思う。

メディアと官僚が小沢つぶし?

新聞やテレビなど大手メディアはこの間、小沢氏を「汚れた」「古いタイプの」政治家だと印象づける報道を続けてきた。一方、ネット世論では、これについて「徹底した改革を唱える小沢氏が政権を取れば、記者クラブによる情報独占など、自分たちの既得権が奪われると考えた」とし、メディアと官僚がタッグを組んで小沢つぶしに動いたとの見方が際立つ。元毎日記者で、新聞労連委員長も務めた北村肇・「週刊金曜日」編集長のコラム(17日)は、代表選の結果についても「マスメディアによるマッチポンプ」と断じた。

小沢氏は民主党入りして以来、政策面で社会民主主義的な色合いを強めた。代表選での演説を聞いただけでも、首相より格が上とわかる。仮に外相に就任すれば、米国べったりの前原氏よりも普天間問題で沖縄の思いに基づく交渉が期待できるだろう。ただ、政策ではなくふだんの政治手法を見る限り、問題が多すぎると思わざるを得ないのがつらい。

(2010/10/05)

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