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まねき猫通信62ぴきめ(2007年8月1日発行)

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トリの眼・ムシの目・ニャンコの目 (巻頭コラム)

戦時体制下では「報国」という言葉が多用される。産業報国、勤労報国、更正報国、はたまた、出産報国まで…あらゆる思想と行為における滅私奉公が賞賛され、全てが「御国のため」を最終目的とする。至上の道徳は「国のために死ぬこと」だ。かけがえのない命、たった一つしかない命を「家族と美しい祖国を守る」ために捧げる――いわば生命報国が絶対的〈真・善・美〉なのである。

我が子を救うため、友人の死を防ごうとして…等々、人は自分の身を賭して「別の命」を救出することがある。自己犠牲は、種族保存本能から派生する動物的生命機能の一つだ。国家は「国民一人一人の命と財産を守る」と主張し、「生命保持の根本たる国が危機なのだから、あなたの命を供出しなさい」と要求する。一死多生に納得し、自己犠牲本能を絡め取られた「国民」は、このようにして、戦争肯定・協力の道を歩む。

自殺した松岡元農水相は「一命を献じて不徳を詫びる」との遺書を残したが、「死を以て云々」「万死に値する」というニホンゴは「命は道具・手段であり、最的武器となる」という思想の裏返しであろう。命を徹底して軽んじる国家と、自己の尊厳を放棄した国民との結託の末に、〈美しい国〉は成就する。(パギ)

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