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まねき猫通信75ひきめ(2008年10月1日発行)

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トリの眼・ムシの目・ニャンコの目 (巻頭コラム)

22年ぶりに福岡県田川市を訪れた。「香春岳は異様な山である」の有名な書き出しで始まる五木寛之『青春の門』の舞台だ。この小説は1974年と1981年、二度映画化されているが、22年前、山の上部半分を削り取られて石灰質の白い山肌を露出している香春岳を見て「映画と同じ景色や」と感慨を覚えたものだ。今、無惨にも上部そのものが無くなり、山は真っ平らになっている。昨年から石灰岩の採掘も止まったという。

石炭は「黒ダイヤ」、石灰岩は「白ダイヤ」と呼ばれて、繁栄する炭鉱の代名詞となった。明治から1960年代初頭まで、石炭は日本のエネルギー資源の中心に位置した。そして、採掘に携わった幾百万の炭坑夫(婦)とその家族がいた。石炭から石油へ、エネルギー政策が転換する中で人々は切り捨てられた。そして、筑豊の象徴であるボタ山の下に、元坑道のあった地底に、落盤事故でなくなった人々の白骨が累々と今も眠っている。

炭鉱の最も危険な仕事には、部落民と朝鮮人が配置された。炭鉱の歴史は、部落差別と強制連行の歴史であると言っても過言ではない。「日本史」はその事実を語り伝えようとしないが、心ある郷土史家や教師たちが「地底の真実」に光を当て続けている。(パギ)

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