7ひきめ(2002年11月)
特集・障がい者が社会で働くために

ぷくぷく 就労(しゅうろう)実習(じっしゅう)現場(げんば)をたずねました!


障がい者(しょうがいしゃ)就労(しゅうろう)支援(しえん)活動(かつどう)はぷくぷく福祉会(ふくしかい)でも(おこ)なっており、そのひとつに就労(しゅうろう)実習(じっしゅう)があります。現在(げんざい)ぷくぷく福祉会(ふくしかい)吹田市(すいたし)より清掃(せいそう)事業(じぎょう)委託(いたく)()け、就労(しゅうろう)実習(じっしゅう)として清掃(せいそう)(おこ)なっている吹田(すいた)市立(しりつ)障がい者(しょうがいしゃ)支援(しえん)交流(こうりゅう)センター(あいほうぷ吹田(すいた))をたずねました。(編集部(へんしゅうぶ)

 

 あいほうぷでの実習(じっしゅう) 

 あいほうぷでの実習(じっしゅう)昨年(さくねん)10(がつ)(はじ)まりました。実習(じっしゅう)(しゃ)吹田(すいた)市報(しほう)公募(こうぼ)最初(さいしょ)(ころ)は、どうしたら清掃(せいそう)しやすいか、実習者(じっしゅうしゃ)とスタッフで試行(しこう)錯誤(さくご)しながらやり(かた)()めていったそうです。現在(げんざい)あいほうぷで実習(じっしゅう)(おこ)なっているのは3(めい)(げつ)金曜日(きんようび)午後(ごご)()から6()まで、1(かい)にある食堂(しょくどう)館内(かんない)廊下(ろうか)階段(かいだん)すべての清掃(せいそう)担当(たんとう)しています。火曜日(かようび)から木曜日(もくようび)までは、アルバイトで(あさ)から公園(こうえん)清掃(せいそう)をしています。

 実習(じっしゅう)(しゃ)中前(なかまえ)行博(ゆきひろ)さん(25)、西尾(にしお)真光(まさみつ)さん(30)、(やま)本康之(もとやすゆき)さん(35) にお()きしました。

 

 ―実習(じっしゅう)はどうですか?

 「掃除(そうじ)をするのは(たの)しくて大好(だいす)きですけど、掃除機(そうじき)でミスをしては(きび)しく注意(ちゅうい)されています。(まえ)にやっていたぷくぷくのクッキーを(つく)仕事(しごと)も、粘土(ねんど)をこねるみたいで(たの)しかったです。体験(たいけん)実習(じっしゅう)はとても勉強(べんきょう)になります。」(中前(なかまえ)さん)

 「ここに()(まえ)は、(ちか)くの作業所(さぎょうしょ)(おも)力仕事(ちからしごと)をしていました。仕事(しごと)()れるまでは時間(じかん)がかかったけど、(いま)はだいぶん()れて、(たの)しいですね。これから(さき)のことはまだわからないですけど、福祉(ふくし)関係(かんけい)仕事(しごと)をしたいと(おも)っています。」(西尾(にしお)さん) 

 「(いま)(げつ)(きん)はあいほうぷで()(もく)公園(こうえん)なので、生活(せいかつ)のリズムが()わってちょっとしんどいです。」(山本(やまもと)さん)

 清掃(せいそう)は、50(にん)食事(しょくじ)できるほどの(ひろ)さの食堂(しょくどう)の、掃除機(そうじき)とモップかけ、洗面台(せんめんだい)やドア、(かべ)(だな)雑巾(ぞうきん)がけなどをそれぞれ丁寧(ていねい)に、およそ1時間半(じかんはん)かけてします。休憩(きゅうけい)をはさんだ(あと)館内(かんない)廊下(ろうか)階段(かいだん)清掃(せいそう)(はじ)まり、午後(ごご)()にはすべて終了(しゅうりょう)。これが1(にち)(なが)れです。

障がい者(しょうがいしゃ)社会(しゃかい)(はたら)くために 

 実習(じっしゅう)目的(もくてき)は、(かなら)ずしも仕事(しごと)内容(ないよう)習得(しゅうとく)することではなく、むしろ(はたら)くうえで必要(ひつよう)人間(にんげん)関係(かんけい)(まな)ぶという意味(いみ)(おお)きいということです。障がい者(しょうがいしゃ)社会(しゃかい)(はたら)くために(なに)大切(たいせつ)なのか、就労(しゅうろう)支援(しえん)担当者(たんとうしゃ)岡松(おかまつ)直治(なおはる)さんにお(はなし)をうかがいました。

 「障がい者(しょうがいしゃ)就労(しゅうろう)(かんが)えるうえで大事(だいじ)なのは、仕事(しごと)(ひと)()わせるのではなくて、(ひと)仕事(しごと)()わせるということです。実習(じっしゅう)をすることで、本人(ほんにん)支援者(しえんしゃ)もその(ひと)仕事(しごと)()き・不向(ふむ)きを()ることができます。それはやはり体験(たいけん)してみないとわからないし、体験(たいけん)をすることによって、これまで(おも)っていた以上(いじょう)にいろんなことができるんじゃないかと()づかされます。

 仕事(しごと)は、みんなが(いち)(よう)(おな)じことをできなくてもいい、それぞれの個性(こせい)状態(じょうたい)()わせて融通(ゆうずう)()かせてつくっていけたらと(おも)っています。支援(しえん)スタッフは(つね)(いま)状態(じょうたい)でいいのかを()(なお)し、(ほか)のやり(かた)(かんが)えていく。ここはあくまで障がい者(しょうがいしゃ)社会(しゃかい)()(はたら)くための支援(しえん)()だから、作業所(さぎょうしょ)から一般就労(いっぱんしゅうろう)するための助走期間(じょそうきかん)場所(ばしょ)にしなければならないと(おも)います。居心地(いごこち)()すぎてずっとここでいいとなっては(こま)りますが、(なん)のために(はたら)くのかというイメージも(かんが)えられないとしんどいですね。」

 また、岡松(おかまつ)さんは、実習(じっしゅう)()には第三者(だいさんしゃ)()があることに(おお)きな意味(いみ)があると()います。

「あいほうぷは障がい者(しょうがいしゃ)のデイサービスやショートステイの施設(しせつ)なので、利用(りよう)したい(ひと)学生(がくせい)などの見学者(けんがくしゃ)(おお)いんですね。そういう()障がい者(しょうがいしゃ)(はたら)いているという(そと)へのアピールになるし、実習(じっしゅう)(しゃ)にとっても、スタッフ以外(いがい)(ひと)から『ありがとう』と()われたり、自分(じぶん)仕事(しごと)評価(ひょうか)されたりするということがあります。」

 実際(じっさい)には課題(かだい)はたくさんあります。実習(じっしゅう)()(いま)のところ清掃(せいそう)しかないのが現実(げんじつ)です。仕事(しごと)(ひと)()わせるのではなく、(ひと)仕事(しごと)()わせる。障害(しょうがい)のある(ひと)もない(ひと)も、いろんな(ひと)がともに(はたら)く。そのイメージをより(おお)くの(ひと)共有(きょうゆう)し、現実(げんじつ)のものにしていけたらと(おも)います。


                           
                        

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