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鳩山政権失速の原因と処方箋 -石塚直人

首相交代と有権者の期待

鳩山首相が突然、辞任を表明し(6月2日)、菅内閣がスタートした(8日)。10%台を低迷していた内閣支持率が各紙の調査で軒並み60%前後へと急伸したことは、ここ数か月間の有権者の閉塞感がどれほど大きかったかをはっきりと示した。

発足したばかりでまだ何の実績もない新政権への高い支持率は、鳩山政権に失望しつつも今更自民党やその亜流を支持する気になれずにいた有権者の「期待値」の裏返しに過ぎない。新政権が小沢前幹事長の影響を排除した形でスタートしたこと、首班となった菅氏が市民運動家出身で政治家の2世ではないことは、確かに「清新」の印象を強める効果をもたらしたが、普天間問題も経済・財政立て直しもこれからだ。舵取りによっては、再び失速しかねない。

メディアに求められているのは、前政権の失速の原因を正しく分析し、二の舞を演じないための処方箋を書くことだろう。直接的な原因として「政治とカネ」にまつわる鳩山・小沢2トップの醜聞、普天間問題を巡る迷走、さらに選挙至上主義の小沢氏に振り回された民主党全体の「政治的な未熟さ」などが共通して指摘されている。もちろん、その通りなのだが、処方箋となると腑に落ちない点がいくつもある。

例えば「官僚を使いこなせ」の提言だ。そこには「政治主導の名の下、官僚を遠ざけたのが迷走の一因」というトーンが感じられる。が、鳩山氏が5月の「日米合意」に先立って外務省や防衛省の官僚から「抑止力」を学んだことは明白で、それは「最低でも県外移設」の理想を裏切る結果となった。

(2010/07/15)

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